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知的財産権制度入門、気づいた点のメモ – 特許制度の概要編

知的財産権制度入門のテキストは、そこまでじっくり読み込むものではありません。これだけ読んでも、本当に基本的なことしかわからないからです。とはいえ、種々の制度の概要を知るのにはとても役立ちます。

さて、特許制度の概要編を読んで、個人的に気になった部分をメモ及び引用したいと思います。

  1. 発明には3つの表現形式がある。表現形式によって、特許権の効力が及ぶ範囲も異なる。(特2条3項)発明には「物の発明」と「方法の発明」があり、「方法の発明」には、さらに、「物を生産する方法の発明」と「物の生産を伴わない方法の発明」に分けられる。
  2.  複数の発明の出願(発明の単一性)(特37条)
    技術的に密接に関係する発明は、別々の出願とするよりも、一つにまとめて出願するほうが、コスト的にも出願の手続をする上でも有利となる。第三者においては、関連する発明の情報が効率的に入手可能となるし、特許庁においては効率的な審査が期待できる。
    発明の単一性を満たす場合には、これらの発明をひとつの願書で特許出願することができる。発明の単一性は、一つの願書で出願できる発明の範囲を言うが、この要件を満たしているかどうかは、2以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しているかで判断される。
  3. 職務発明制度(特35条)
     従業者がした職務発明に関しては、使用者による一定の公権が不可欠であることを重く見て、使用者に無償の通常実施権を付与し(特35条第1項)、さらに、あらかじめ、従業者から使用者に特許を受ける権利を譲渡するよう取り決めておくこと(特35条第2項)を認めている(予約継承)
  4. 出願から特許取得までの流れ
    特許出願に必要な書類は次の5つ
    1. 特許願(願書)
    2. 明細書
    3. 特許請求の範囲
    4. 要約書
    5. 図面
    要約書はもっぱら公開特許公報への掲載を目的とするものであり、権利の解釈には用いない。
  5. 様々な制度に基づく出願
     – 国内優先権制度を利用した出願(特41条)
    – 特許出願の分割(特44条)
    – 出願の変更(特46条)
    – 実用新案登録に基づく特許出願(特46条の2)
  6.  出願公開
    特許出願人は
    – 出願公開されている場合
    – パリ条約による優先権主張を伴う出願で証明書が提出されていない場合
    – 外国語書面出願で外国語書面の翻訳文が提出されていない場合
    を除き、その特許出願について出願公開の請求をすることができる。

    出願公開の請求は取り下げることができない。また、出願公開請求書の提出後に、出願が放棄、取り下げられても出願公開は行われ、出願から1年3月以内であっても、要約書の補正はできない。 
  7. 方式審査への対応
    不適法な手続の却下(特18条の2)
    不適法な手続であって、その補正をすることができないものの場合、手続が却下される。却下となる場合は、事前に却下の理由が通知され、弁明の機会が与えられる。その後、却下処分がされた場合には、処分の取消を求める不服申立て、さらには訴訟を提起することができる。

    手続の補正命令(特17条第3項)
    却下とならないまでも、方式要件を満たしていない手続は、正しく記載するよう手続の補正が命じられる。補正をしなかった場合には、補正の対象とされた手続自体が却下される。
  8. 外国での権利取得
    次の2つの方法がある。
    – 外国の特許庁に直接出願する出願(パリルート)
    – 特許協力条約(PCT)に基づく出願(PCTルート)

個人的にはこんなところでしょうか。

「特許を取りたい」と言っても、特許法では、「発明」の表現形式を変えることで特許権の及ぶ範囲が違ったり、外国での権利取得にも2つのルートがあったり、いろいろと規定されているみたいですね。

条文を読めばふんふん、と分かることなのでしょうけれど…。