前置審査
2013-03-11特許法
条文には「前置審査」という言葉は出て来ませんが、特許法162条に書かれている審査を前置審査と言います。
特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正があつたときは、審査官にその請求を審査させなければならない。
特許法では、特許出願においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についての補正ができる時期が第17条の2で規定され、第1項4号に、拒絶査定不服審判と同時に補正を請求することができます。
1特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。
ただし、第50条《拒絶理由の通知》の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
- 1から3
- 省略
- 4
- 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。
しかし、実用新案登録出願、意匠登録出願、商標登録出願では特17条の2を準用していないため、これらの出願では前置審査はありません。というよりも、特許出願に比べて、補正ができる期間は緩いみたいです。
実用新案の場合
1実用新案登録出願、請求その他実用新案登録に関する手続(以下単に「手続」という。)をした者は、事件が特許庁に係属している場合に限り、その補正をすることができる。
ただし、実用新案登録出願の日から政令で定める期間を経過した後は、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲、図面又は要約書について補正をすることができない。
意匠の場合
意匠登録出願、請求その他意匠登録に関する手続をした者は、事件が審査、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることができる。
商標の場合
1商標登録出願、防護標章登録出願、請求その他商標登録又は防護標章登録に関する手続をした者は、事件が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることができる。
2商標登録出願をした者は、前項の規定にかかわらず、第40条《登録料》第1項又は第41条の2《登録料の分割納付》第1項の規定による登録料の納付と同時に、商標登録出願に係る区分の数を減ずる補正をすることができる。
それにしても…、「の40」とは、激しい枝番号ですね…。
前置審査が設けられている理由としては…
拒絶査定不服審判において、拒絶査定がくつがえるものの大部分が、拒絶査定後に明細書、図面について補正があったことによるため
だから、だそうです。 → 前置審査(審査前置)とは – 知的財産大辞典 Chizai-Word