Mathematics and Natural Language Processing

モンティホールジレンマ その2 – 感覚的な解答編

数式的な証明は今回はしません。感覚的な話をしたいと思います。感覚的に考えるには、少し極端な例をすると分かりやすいでしょう。例えば、最初に箱が100個とします。

さてここから、あなたはプレイヤーでも出題者でもない第三者としてゲームに参加して下さい。

では、モンティ・ホールのルールに従って、箱が2つに減ったところから考えてみましょう。次の図を見て下さい。

このような聞き方をした時、Aが当たる確率とBが当たる確率は等しく、1/2ですよね。

では、こんな聞き方をしたらどうですか?

何か違和感がないでしょうか。確かに、箱が2個あるのだけど、比べるものがなにか違いますよね。

Aは最初に1つだけ選んだ箱です。なので、これが当たりの確率は1/100です。ではBは? Bは99個の中から98個のハズレを抜いたものです。98個抜く前は99個の箱があり、99の箱のどれかに当たりがある確率は99/100ですよね。そこからハズレの箱を抜いたわけですが、ただ1つ残ったというBの箱が当たりである確率は…、やっぱり99/100のはずです。

つまり、確かに箱が2つ見えていますが、Bはもともと99個あった…つまり、グループだったわけです。1個の箱(A)と99個のグループ(B)を比べていることになります。そう考えると、Bを選ぶほうがいいですよね。

ここで、面白い考察ができます。もともと最初は箱が2つあって、どちらかが当たりで、当たる確率は確率は1/2でした。しかし、追加情報を得ることによって、確率が変わりました。このように、注目しているシチュエーションに、新たな追加情報を得ると、確率が変わります。当たり前、だと思うかもしれませんが、結講見落とします。


この問題を数学的に考えると、条件付き確率もしくは、より正確にはベイズ理論を使って解くのが正しいでしょう。条件付き確率は高校の数学で習いますが、苦労していた人をたくさん見かけました…。普通の確率なら直感的なのですが、情報が加わることによって、その確率値が変わってしまうということは、なかなか理解するのが難しかったり、見落としたりします。

この問題は、そのいい例でしょう。また、情報科学系を専攻する人は、このような問題はベイズ理論の基礎的なものなので、解説が出来るくらいになっていると望ましいでしょう。