独立特許要件(特126条7項)
2013-02-21特許法
平成23年改正で、特許法第126条「訂正審判」は、訂正審判の請求の単位に関する規定が新たに設けられ、条文としては、3項と4項が旧第3項の前に追加されました。このため独立特許要件が第5項から第7項に移動しました。
独立特許要件は次のように規定されています。
1特許権者は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすることについて訂正審判を請求することができる。
ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
- 1
- 特許請求の範囲の減縮
- 2
- 誤記又は誤訳の訂正
- 3,4
- 省略
7第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
これはどういうことのなのだろう…。ということで、とりあえず青本を参照…。
七項は特許請求の範囲を減縮した(一項一号)後の発明又は誤記若しくは誤訳の訂正をした(一項二号)後の発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない旨を規定したものであるが、当然のことである。
仮に独立して特許を受けることができない部分のみが訂正後に残ったとしても、それは一二八条の規定により訂正後における明細書又は図面により特許出願がなされたものとみなされ、その特許出願の内容は瑕疵があるということで無効審判を請求されることになる。
なんと、当然のことでした。念のため、特128条も下に掲載します。
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすべき旨の審決が確定したときは、その訂正後における明細書、特許請求の範囲又は図面により特許出願、出願公開、特許をすべき旨の査定又は審決及び特許権の設定の登録がされたものとみなす。
まあ、これは当たり前として、果たして、独立特許要件とは結局なんでしょう…。
ここで、特許庁の特許・実用新案審査基準を見てみます。これの第9部 審査の進め方に独立特許要件について詳しく書かれています。これの12ページ目に、こう書いてあります。
ここで、限定的減縮の補正がなされた請求項に係る発明が、特許出願の際、独立して特許を受けることができるか否かの判断において適用する規定は、以下のものに限ることとする。
第29条、第29条の2、第32条、第36条第4項第1号又は第6項(第4号は除く)、第39条第1項から第4項
ふーむ、なるほど…。
とはいえ、じゃあ、なぜそういう規定があるのかは…? あとは、こちらのブログを読み深めようと思います…。→独立特許要件(特許法第126条第5項)について考えてみた | what’s the 446?
なお、特許無効審判における訂正の請求の場合に準用があります。
9第126条《訂正審判》第4項から第8項まで、第127条《訂正審判》、第128条《訂正審判》、第131条《審判請求の方式》第1項、第3項及び第4項、第131条の2《審判請求書の補正》第1項、第132条《共同審判》第3項及び第4項並びに第133条《方式に違反した場合の決定による却下》第1項、第3項及び第4項の規定は、第1項の場合に準用する。この場合において、第126条《訂正審判》第7項中「第1項ただし書第1号又は第2号」とあるのは、「特許無効審判の請求がされていない請求項に係る第1項ただし書第1号又は第2号」と読み替えるものとする。
特許無効審判の請求がされている請求項は独立特許要件の検討対象からは外されているようです…。