特許法 第八章 訴訟(特178~184-2)

第百七十八条(審決等に対する訴え)

1
審決に対する訴え及び審判若しくは再審の請求書又は第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。

2
前項の訴えは、当事者、参加人又は当該審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。

3
第一項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。

4
前項の期間は、不変期間とする。

5
審判長は遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる。

6
審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。


第百七十九条(被告適格)

前条第一項の訴えにおいては、特許庁長官を被告としなければならない。

ただし、特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する第百七十一条第一項の再審の審決に対するものにあつては、その審判又は再審の請求人又は被請求人を被告としなければならない。


第百八十条(出訴の通知等)

1
裁判所は、前条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、遅滞なく、その旨を特許庁長官に通知しなければならない。

2
裁判所は、前項の場合において、訴えが請求項ごとに請求された特許無効審判又はその審判の確定審決に対する再審の審決に対するものであるときは、
当該訴えに係る請求項を特定するために必要な書類を特許庁長官に送付しなければならない。


第百八十条の二(審決取消訴訟における特許庁長官の意見)

1
裁判所は、第百七十九条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、特許庁長官に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を求めることができる。

2
特許庁長官は、第百七十九条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、裁判所の許可を得て、
裁判所に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を述べることができる。

3
特許庁長官は特許庁の職員でその指定する者に前二項の意見を述べさせることができる。


第百八十一条(審決又は決定の取消し)

1
裁判所は、第百七十八条第一項の訴えの提起があつた場合において、当該請求を理由があると認めるときは、当該審決又は決定を取り消さなければならない。

2
審判官は、前項の規定による審決又は決定の取消しの判決が確定したときは、さらに審理を行い、審決又は決定をしなければならない。

この場合において、審決の取消しの判決が、第百三十四条の二第一項の訂正の請求がされた一群の請求項のうち一部の請求項について確定したときは、審判官は、審理を行うに際し、当該一群の請求項のうちその他の請求項についての審決を取り消さなければならない。


第百八十二条(裁判の正本等の送付)

1
裁判所は、第百七十九条ただし書に規定する訴えについて次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、それぞれ当該各号に定める書類を特許庁長官に送付しなければならない。

1
裁判により訴訟手続が完結した場合 各審級の裁判の正本
2
裁判によらないで訴訟手続が完結した場合 訴訟手続が完結した訴えに係る請求項を特定するために必要な書類

第百八十二条の二(合議体の構成)

第百七十八条第一項の訴えに係る事件については、五人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。


第百八十三条(対価の額についての訴え)

1
第八十三条第二項、第九十二条第三項若しくは第四項又は第九十三条第二項の裁定を受けた者は、その裁定で定める対価の額について不服があるときは、訴えを提起してその額の増減を求めることができる。

2
前項の訴えは、裁定の謄本の送達があつた日から六月を経過した後は、提起することができない。


第百八十四条(被告適格)

前条第一項の訴えにおいては、次に掲げる者を被告としなければならない。

1
第八十三条第二項、第九十二条第四項又は第九十三条第二項の裁定については、通常実施権者又は特許権者若しくは専用実施権者
2
第九十二条第三項の裁定については、通常実施権者又は第七十二条の他人

第百八十四条の二(不服申立てと訴訟との関係)

この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分(第百九十五条の四に規定する処分を除く。)の取消しの訴えは、当該処分についての異議申立て又は審査請求に対する決定又は裁決を経た後でなければ、提起することができない。