特許法 第六章 審判 その6(特164の2~170)

第百六十四条の二(特許無効審判における特則)

1
審判長は、特許無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときその他の経済産業省令で定めるときは、
審決の予告を当事者及び参加人にしなければならない。

2
審判長は、前項の審決の予告をするときは、
被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定しなければならない。

3
第百五十七条第二項の規定は、第一項の審決の予告に準用する。


第百六十五条(訂正審判における特則)

審判長は、訂正審判の請求が第百二十六条第一項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、
又は同条第五項から第七項までの規定に適合しないときは、
請求人にその理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。


第百六十六条(訂正審判における特則)

第百三十四条第一項から第三項まで、第百三十四条の二、第百三十四条の三、第百四十八条及び第百四十九条の規定は、訂正審判には、適用しない。


第百六十七条(審決の効力)

特許無効審判又は延長登録無効審判の審決が確定したときは、当事者及び参加人は、同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない。


第百六十七条の二(審決の確定範囲)

審決は、審判事件ごとに確定する。

ただし、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定めるところにより確定する。

1
請求項ごとに特許無効審判の請求がされた場合であつて、一群の請求項ごとに第百三十四条の二第一項の訂正の請求がされた場合 当該一群の請求項ごと
2
一群の請求項ごとに訂正審判の請求がされた場合 当該一群の請求項ごと
3
請求項ごとに審判の請求がされた場合であつて、第一号に掲げる場合以外の場合 当該請求項ごと

第百六十八条(訴訟との関係)

1
審判において必要があると認めるときは、他の審判の審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。

2
訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、審決が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。

3
裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に関する訴えの提起があつたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。

その訴訟手続が完結したときも、また同様とする。

4
特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、その特許権についての審判の請求の有無を裁判所に通知するものとする。

その審判の請求書の却下の決定、審決又は請求の取下げがあつたときも、また同様とする。

5
裁判所は、前項の規定によりその特許権についての審判の請求があつた旨の通知を受けた場合において、当該訴訟において第百四条の三第一項の規定による攻撃又は防御の方法を記載した書面がその通知前に既に提出され、又はその通知後に最初に提出されたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。

6
特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、裁判所に対し
当該訴訟の訴訟記録のうちその審判において審判官が必要と認める書面の写しの送付を求めることができる。


第百六十九条(審判における費用の負担)

1
特許無効審判及び延長登録無効審判に関する費用の負担は、審判が審決により終了するときはその審決をもつて、審判が審決によらないで終了するときは審判による決定をもつて、職権で、定めなければならない。

2
民事訴訟法第六十一条 から第六十六条 まで、第六十九条第一項及び第二項、第七十条並びに第七十一条第二項(訴訟費用の負担)の規定は、前項に規定する審判に関する費用に準用する。

この場合において、同法第七十一条第二項 中「最高裁判所規則」とあるのは、「経済産業省令」と読み替えるものとする。

3
拒絶査定不服審判及び訂正審判に関する費用は、請求人の負担とする。

4
民事訴訟法第六十五条 (共同訴訟の場合の負担)の規定は、前項の規定により請求人が負担する費用に準用する。

5
審判に関する費用の額は、請求により、審決又は決定が確定した後に特許庁長官が決定をする。

6
審判に関する費用の範囲、額及び納付並びに審判における手続上の行為をするために必要な給付については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律 (昭和四十六年法律第四十号)中これらに関する規定(第二章第一節及び第三節に定める部分を除く。)の例による。


第百七十条(費用の額の決定の執行力)

審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。

特許法 第六章 審判 その5(特158~164)

第百五十八条(拒絶査定不服審判における特則)

審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。


第百五十九条(拒絶査定不服審判における特則)

1
第五十三条の規定は、拒絶査定不服審判に準用する。

この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第一号又は第三号」とあるのは「第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号」と、
「補正が」とあるのは「補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。

2
第五十条及び第五十条の二の規定は、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。

この場合において、第五十条ただし書中「第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)」とあるのは、「第十七条の二第一項第一号(拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限るものとし、拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)、第三号(拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)又は第四号に掲げる場合」と読み替えるものとする。

3
第五十一条及び第六十七条の三第二項の規定は、拒絶査定不服審判の請求を理由があるとする場合に準用する。


第百六十条(拒絶査定不服審判における特則)

1
拒絶査定不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。

2
前項の審決があつた場合における判断は、その事件について審査官を拘束する。

3
第一項の審決をするときは、前条第三項の規定は、適用しない。


第百六十一条(拒絶査定不服審判における特則)

第百三十四条第一項から第三項まで、第百三十四条の二、第百三十四条の三、第百四十八条及び第百四十九条の規定は、拒絶査定不服審判には、適用しない。


第百六十二条(拒絶査定不服審判における特則)

特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正があつたときは、審査官にその請求を審査させなければならない。


第百六十三条(拒絶査定不服審判における特則)

1
第四十八条、第五十三条及び第五十四条の規定は、前条の規定による審査に準用する。

この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第一号又は第三号」とあるのは「第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。

2
第五十条及び第五十条の二の規定は、前条の規定による審査において審判の請求に係る査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。

この場合において、
第五十条ただし書中「第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)」とあるのは、「第十七条の二第一項第一号(拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限るものとし、拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)、第三号(拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)又は第四号に掲げる場合」と読み替えるものとする。

3
第五十一条及び第五十二条の規定は、前条の規定による審査において審判の請求を理由があるとする場合に準用する。


第百六十四条(拒絶査定不服審判における特則)

1
審査官は、第百六十二条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。

2
審査官は、前項に規定する場合を除き、前条第一項において準用する第五十三条第一項の規定による却下の決定をしてはならない。

3
審査官は、第一項に規定する場合を除き、当該審判の請求について査定をすることなくその審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。

特許法 第六章 審判 その4(特145~157)

百四十五条(審判における審理の方式)

1
特許無効審判及び延長登録無効審判は、口頭審理による。

ただし、審判長は、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書面審理によるものとすることができる。

2
前項に規定する審判以外の審判は、書面審理による。

ただし、審判長は、当事者の申立により又は職権で、口頭審理によるものとすることができる。

3
審判長は、第一項又は前項ただし書の規定により口頭審理による審判をするときは、その期日及び場所を定め、当事者及び参加人に対し、期日の呼出しを行わなければならない。

4
民事訴訟法第九十四条(期日の呼出し)の規定は、前項の期日の呼出しに準用する。

5
第一項又は第二項ただし書の規定による口頭審理は、公開して行う。

ただし、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるときは、この限りでない。


百四十六条(審判における審理の方式)

民事訴訟法第百五十四条 (通訳人の立会い等)の規定は、審判に準用する。


百四十七条(調書)

1
第百四十五条第一項又は第二項ただし書の規定による口頭審理による審判については、審判書記官は、期日ごとに審理の要旨その他必要な事項を記載した調書を作成しなければならない。

2
審判書記官は、前項の調書の作成又は変更に関して審判長の命令を受けた場合において、その作成又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる。

3
民事訴訟法第百六十条第二項 及び第三項(口頭弁論調書)の規定は、第一項の調書に準用する。


百四十八条(参加)

1
第百三十二条第一項の規定により審判を請求することができる者は、審理の終結に至るまでは、請求人としてその審判に参加することができる。

2
前項の規定による参加人は、被参加人がその審判の請求を取り下げた後においても、審判手続を続行することができる。

3
審判の結果について利害関係を有する者は、審理の終結に至るまでは、当事者の一方を補助するためその審判に参加することができる。

4
[s前項の規定による参加人は]、一切の審判手続をすることができる。

5
第一項又は第三項の規定による参加人について審判手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、被参加人についても、その効力を生ずる。


百四十九条(参加)

1
参加を申請する者は、参加申請書を審判長に提出しなければならない。

2
審判長は、参加の申請があつたときは、参加申請書の副本を当事者及び参加人に送達し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。

3
参加の申請があつたときは、その申請をした者が参加しようとする審判の審判官が審判により決定をする。

4
前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。

5
第三項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。


百五十条(証拠調及び証拠保全)

1
審判に関しては、当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠調をすることができる。

2
審判に関しては、審判請求前は利害関係人の申立により、審判の係属中は当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠保全をすることができる。

3
前項の規定による審判請求前の申立は、特許庁長官に対してしなければならない。

4
特許庁長官は、第二項の規定による審判請求前の申立てがあつたときは、証拠保全に関与すべき審判官及び審判書記官を指定する。

5
審判長は、第一項又は第二項の規定により職権で証拠調又は証拠保全をしたときは、その結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

6
第一項又は第二項の証拠調又は証拠保全は、当該事務を取り扱うべき地の地方裁判所又は簡易裁判所に嘱託することができる。


百五十一条(証拠調及び証拠保全)

第百四十七条並びに民事訴訟法第九十三条第一項(期日の指定)、第九十四条(期日の呼出し)、第百七十九条から第百八十一条まで、第百八十三条から第百八十六条まで、第百八十八条、第百九十条、第百九十一条、第百九十五条から第百九十八条まで、第百九十九条第一項、第二百一条から第二百四条まで、第二百六条、第二百七条、第二百十条から第二百十三条まで、第二百十四条第一項から第三項まで、第二百十五条から第二百二十二条まで、第二百二十三条第一項から第六項まで、第二百二十六条から第二百二十八条まで、第二百二十九条第一項から第三項まで、第二百三十一条、第二百三十二条第一項、第二百三十三条、第二百三十四条、第二百三十六条から第二百三十八条まで、第二百四十条から第二百四十二条まで(証拠)及び第二百七十八条(尋問等に代わる書面の提出)の規定は、前条の規定による証拠調べ又は証拠保全に準用する。

この場合において、同法第百七十九条 中「裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実」とあるのは「顕著な事実」と、同法第二百四条 及び第二百十五条の三 中「最高裁判所規則」とあるのは「経済産業省令」と読み替えるものとする。


百五十二条(職権による審理)

審判長は、当事者又は参加人が法定若しくは指定の期間内に手続をせず、又は第百四十五条第三項の規定により定めるところに従つて出頭しないときであつても、審判手続を進行することができる。


百五十三条(職権による審理)

1
審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。

2
審判長は、前項の規定により当事者又は参加人が申し立てない理由について審理したときは、その審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

3
審判においては、請求人が申し立てない請求の趣旨については、審理することができない。


百五十四条(審理の併合又は分離)

1
当事者の双方又は一方が同一である二以上の審判については、その審理の併合をすることができる。

2
前項の規定により審理の併合をしたときは、さらにその審理の分離をすることができる。


百五十五条(審判の請求の取下げ)

1
審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。

2
審判の請求は、第百三十四条第一項の答弁書の提出があつた後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。

3
二以上の請求項に係る特許の二以上の請求項について特許無効審判を請求したときは、その請求は、請求項ごとに取り下げることができる。

4
請求項ごとに又は一群の請求項ごとに訂正審判を請求したときは、その請求の取下げは、その全ての請求について行わなければならない。


百五十六条(審理の終結の通知)

1
審判長は、特許無効審判以外の審判においては、事件が審決をするのに熟したときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。

2
審判長は、特許無効審判においては、事件が審決をするのに熟した場合であつて第百六十四条の二第一項の審決の予告をしないとき、又は同項の審決の予告をした場合であつて同条第二項の規定により指定した期間内に被請求人が第百三十四条の二第一項の訂正の請求若しくは第十七条の四第一項の補正をしないときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。

3
審判長は、必要があるときは、前二項の規定による通知をした後であつても、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審理の再開をすることができる。

4
審決は、第一項又は第二項の規定による通知を発した日から二十日以内にしなければならない。

ただし、事件が複雑であるとき、その他やむを得ない理由があるときは、この限りでない。


百五十七条(審決)

1
審決があつたときは、審判は、終了する。

2
審決は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。

1
審判の番号
2
当事者及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
3
審判事件の表示
4
審決の結論及び理由
5
審決の年月日

3
特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。