特許法 第十章 雑則 その1(特185~192)

第百八十五条(二以上の請求項に係る特許又は特許権についての特則)

二以上の請求項に係る特許又は特許権についての

  • 第二十七条第一項第一号、
  • 第六十五条第五項(第百八十四条の十第二項において準用する場合を含む。)
  • 第八十条第一項、
  • 第九十七条第一項、
  • 第九十八条第一項第一号、
  • 第百十一条第一項第二号、
  • 第百二十三条第三項、
  • 第百二十五条、
  • 第百二十六条第八項(第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)
  • 第百二十八条(第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)
  • 第百三十二条第一項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)
  • 第百七十五条、
  • 第百七十六条若しくは
  • 第百九十三条第二項第四号又は
  • 実用新案法第二十条第一項

の規定の適用については、請求項ごとに特許がされ、又は特許権があるものとみなす。


第百八十六条(証明等の請求)

1
何人も特許庁長官に対し、特許に関し、証明、書類の謄本若しくは抄本の交付、書類の閲覧若しくは謄写又は特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求することができる。

ただし、次に掲げる書類については、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるときは、この限りでない。

1
願書、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面若しくは要約書若しくは外国語書面若しくは外国語要約書面若しくは特許出願の審査に係る書類(特許権の設定の登録又は出願公開がされたものを除く。)又は第六十七条の二第二項の資料
2
拒絶査定不服審判に係る書類(当該事件に係る特許出願について特許権の設定の登録又は出願公開がされたものを除く。)
3
特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する再審に係る書類であつて、当事者又は参加人から当該当事者又は参加人の保有する営業秘密が記載された旨の申出があつたもの
4
個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがあるもの
5
公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるもの

2
特許庁長官は、前項第一号から第四号までに掲げる書類について、同項本文の請求を認めるときは、当該書類を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。

3
特許に関する書類及び特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。

4
特許に関する書類及び特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている保有個人情報(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第二条第三項 に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第四章 の規定は、適用しない。


第百八十七条(特許表示)

特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、経済産業省令で定めるところにより、物の特許発明におけるその物若しくは物を生産する方法の特許発明におけるその方法により生産した物(以下「特許に係る物」という。)又はその物の包装にその物又は方法の発明が特許に係る旨の表示(以下「特許表示」という。)を附するように努めなければならない。


第百八十八条(虚偽表示の禁止)

何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

1
特許に係る物以外の物又はその物の包装に特許表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為
2
特許に係る物以外の物であつて、その物又はその物の包装に特許表示又はこれと紛らわしい表示を付したものの譲渡等又は譲渡等のための展示をする行為
3
特許に係る物以外の物の生産若しくは使用をさせるため、又は譲渡等をするため、広告にその物の発明が特許に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為
4
方法の特許発明におけるその方法以外の方法を使用させるため、又は譲渡し若しくは貸し渡すため、広告にその方法の発明が特許に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為


第百八十九条(送達)

送達する書類は、この法律に規定するもののほか、経済産業省令で定める。


第百九十条(送達)

  • 民事訴訟法第九十八条第二項、
  • 第九十九条から第百三条まで、
  • 第百五条、
  • 第百六条、
  • 第百七条第一項(第二号及び第三号を除く。)及び
  • 第三項並びに
  • 第百九条(送達)

の規定は、この法律又は前条の経済産業省令で定める書類の送達に準用する。

この場合において、同法第九十八条第二項及び第百条中「裁判所書記官」とあるのは「特許庁長官の指定する職員又は審判書記官」と、同法第九十九条第一項中「郵便又は執行官」とあるのは「郵便」と、同法第百七条第一項中「場合には、裁判所書記官」とあるのは「場合及び審査に関する書類を送達すべき場合には、特許庁長官の指定する職員又は審判書記官」と、「最高裁判所規則」とあるのは「経済産業省令」と読み替えるものとする。


第百九十一条(送達)

1
送達を受けるべき者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れないとき、又は前条において準用する民事訴訟法第百七条第一項(第二号及び第三号を除く。)の規定により送達をすることができないときは、公示送達をすることができる。

2
公示送達は、送達する書類を送達を受けるべき者に何時でも交付すべき旨を官報及び特許公報に掲載するとともに特許庁の掲示場に掲示することにより行う。

3
公示送達は、官報に掲載した日から二十日を経過することにより、その効力を生ずる。


第百九十二条(送達)

1
在外者に特許管理人があるときは、その特許管理人に送達しなければならない。

2
在外者に特許管理人がないときは、書類を航空扱いとした書留郵便等(書留郵便又は信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして経済産業省令で定めるものをいう。次項において同じ。)に付して発送することができる。

3
前項の規定により書類を書留郵便等に付して発送したときは、発送の時に送達があつたものとみなす。


特許法 第八章 訴訟(特178~184-2)

第百七十八条(審決等に対する訴え)

1
審決に対する訴え及び審判若しくは再審の請求書又は第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。

2
前項の訴えは、当事者、参加人又は当該審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。

3
第一項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。

4
前項の期間は、不変期間とする。

5
審判長は遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる。

6
審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。


第百七十九条(被告適格)

前条第一項の訴えにおいては、特許庁長官を被告としなければならない。

ただし、特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する第百七十一条第一項の再審の審決に対するものにあつては、その審判又は再審の請求人又は被請求人を被告としなければならない。


第百八十条(出訴の通知等)

1
裁判所は、前条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、遅滞なく、その旨を特許庁長官に通知しなければならない。

2
裁判所は、前項の場合において、訴えが請求項ごとに請求された特許無効審判又はその審判の確定審決に対する再審の審決に対するものであるときは、
当該訴えに係る請求項を特定するために必要な書類を特許庁長官に送付しなければならない。


第百八十条の二(審決取消訴訟における特許庁長官の意見)

1
裁判所は、第百七十九条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、特許庁長官に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を求めることができる。

2
特許庁長官は、第百七十九条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、裁判所の許可を得て、
裁判所に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を述べることができる。

3
特許庁長官は特許庁の職員でその指定する者に前二項の意見を述べさせることができる。


第百八十一条(審決又は決定の取消し)

1
裁判所は、第百七十八条第一項の訴えの提起があつた場合において、当該請求を理由があると認めるときは、当該審決又は決定を取り消さなければならない。

2
審判官は、前項の規定による審決又は決定の取消しの判決が確定したときは、さらに審理を行い、審決又は決定をしなければならない。

この場合において、審決の取消しの判決が、第百三十四条の二第一項の訂正の請求がされた一群の請求項のうち一部の請求項について確定したときは、審判官は、審理を行うに際し、当該一群の請求項のうちその他の請求項についての審決を取り消さなければならない。


第百八十二条(裁判の正本等の送付)

1
裁判所は、第百七十九条ただし書に規定する訴えについて次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、それぞれ当該各号に定める書類を特許庁長官に送付しなければならない。

1
裁判により訴訟手続が完結した場合 各審級の裁判の正本
2
裁判によらないで訴訟手続が完結した場合 訴訟手続が完結した訴えに係る請求項を特定するために必要な書類

第百八十二条の二(合議体の構成)

第百七十八条第一項の訴えに係る事件については、五人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。


第百八十三条(対価の額についての訴え)

1
第八十三条第二項、第九十二条第三項若しくは第四項又は第九十三条第二項の裁定を受けた者は、その裁定で定める対価の額について不服があるときは、訴えを提起してその額の増減を求めることができる。

2
前項の訴えは、裁定の謄本の送達があつた日から六月を経過した後は、提起することができない。


第百八十四条(被告適格)

前条第一項の訴えにおいては、次に掲げる者を被告としなければならない。

1
第八十三条第二項、第九十二条第四項又は第九十三条第二項の裁定については、通常実施権者又は特許権者若しくは専用実施権者
2
第九十二条第三項の裁定については、通常実施権者又は第七十二条の他人

第百八十四条の二(不服申立てと訴訟との関係)

この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分(第百九十五条の四に規定する処分を除く。)の取消しの訴えは、当該処分についての異議申立て又は審査請求に対する決定又は裁決を経た後でなければ、提起することができない。

特許法 第七章 再審(特171~177)

第百七十一条(再審の請求)

1
確定審決に対しては、当事者又は参加人は、再審を請求することができる。

2
民事訴訟法第三百三十八条第一項 及び第二項 並びに第三百三十九条 (再審の事由)の規定は、前項の再審の請求に準用する。


第百七十二条(再審の請求)

1
審判の請求人及び被請求人が共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもつて審決をさせたときは、その第三者は、その確定審決に対し再審を請求することができる。

2
前項の再審は、その請求人及び被請求人を共同被請求人として請求しなければならない。


第百七十三条(再審の請求期間)

1
再審は、請求人が審決が確定した後再審の理由を知つた日から三十日以内に請求しなければならない。

2
再審を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。

3
請求人が法律の規定に従つて代理されなかつたことを理由として再審を請求するときは、第一項に規定する期間は、請求人又はその法定代理人が送達により審決があつたことを知つた日の翌日から起算する。

4
審決が確定した日から三年を経過した後は、再審を請求することができない。

5
再審の理由が審決が確定した後に生じたときは、前項に規定する期間は、その理由が発生した日の翌日から起算する。

6
第一項及び第四項の規定は、当該審決が前にされた確定審決と抵触することを理由とする再審の請求には、適用しない。


第百七十四条(審判の規定等の準用)

1
第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第三項及び第四項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第四項、第百三十五条から第百四十七条まで、第百五十条から第百五十二条まで、第百五十五条第一項、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条から第百六十条まで、第百六十七条の二本文、第百六十八条、第百六十九条第三項から第六項まで並びに第百七十条の規定は、拒絶査定不服審判の確定審決に対する再審に準用する。

2
第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第一項、第二項及び第四項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第一項、第三項及び第四項、第百三十五条から第百五十二条まで、第百五十四条、第百五十五条第一項から第三項まで、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条、第百六十七条から第百六十八条まで、第百六十九条第一項、第二項、第五項及び第六項並びに第百七十条の規定は、特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審に準用する。

3
第百三十一条第一項及び第四項、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第三項及び第四項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第四項、第百三十五条から第百四十七条まで、第百五十条から第百五十二条まで、第百五十五条第一項及び第四項、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条、第百六十五条、第百六十七条の二、第百六十八条、第百六十九条第三項から第六項まで並びに第百七十条の規定は、訂正審判の確定審決に対する再審に準用する。

4
民事訴訟法第三百四十八条第一項(審理の範囲)の規定は、再審に準用する。


第百七十五条(再審により回復した特許権の効力の制限)

1
無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復した場合又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつた場合において、その特許が物の発明についてされているときは、特許権の効力は、当該審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に輸入し、又は日本国内において生産し、若しくは取得した当該物には、及ばない。

2
無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつたときは、特許権の効力は、当該審決が確定した後再審の請求の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。

1
当該発明の善意の実施
2
特許が物の発明についてされている場合において、善意に、その物の生産に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
3
特許が物の発明についてされている場合において、善意に、その物を譲渡等又は輸出のために所持した行為
4
特許が方法の発明についてされている場合において、善意に、その方法の使用に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
5
特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、善意に、その方法により生産した物を譲渡等又は輸出のために所持した行為

第百七十六条(再審により回復した特許権の効力の制限)

無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつたときは、当該審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。