特許法 第一章 総則 その1(特1~16)

第一条(目的)

この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。


第二条(定義)

1
この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。

2
この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。

3
この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。

1
物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
2
方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
3
物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

4
この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。


第三条(期間の計算)

1
この法律又はこの法律に基く命令の規定による期間の計算は、次の規定による。

1
期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
2
期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

2
特許出願、請求その他特許に関する手続(以下単に「手続」という。)についての期間の末日が行政機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第九十一号)第一条第一項各号に掲げる日に当たるときは、その日の翌日をもつてその期間の末日とする。


第四条(期間の延長等)

特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、第四十六条の二第一項第三号、第百八条第一項、第百二十一条第一項又は第百七十三条第一項に規定する期間を延長することができる。


第五条(期間の延長等)

1
特許庁長官、審判長又は審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。

2
審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。


第六条(法人でない社団等の手続をする能力)

1
法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において次に掲げる手続をすることができる。

1
出願審査の請求をすること。
2
特許無効審判又は延長登録無効審判を請求すること。
3
第百七十一条第一項の規定により特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求すること。

2
法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求されることができる。


第七条(未成年者、成年被後見人等の手続をする能力)

1
未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、手続をすることができない。

ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができるときは、この限りでない。

2
被保佐人が手続をするには、保佐人の同意を得なければならない。

3
法定代理人が手続をするには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。

4
被保佐人又は法定代理人が、相手方が請求した審判又は再審について手続をするときは、前二項の規定は、適用しない。


第八条(在外者の特許管理人)

1
日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない者(以下「在外者」という。)は、政令で定める場合を除き、その者の特許に関する代理人であつて日本国内に住所又は居所を有するもの(以下「特許管理人」という。)によらなければ、手続をし、又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服として訴えを提起することができない。

2
特許管理人は、一切の手続及びこの法律又はこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服とする訴訟について本人を代理する。

ただし、在外者が特許管理人の代理権の範囲を制限したときは、この限りでない。


第九条(代理権の範囲)

日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者であつて手続をするものの委任による代理人は、特別の授権を得なければ、特許出願の変更、放棄若しくは取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請若しくは申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張若しくはその取下げ、第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求、特許権の放棄又は復代理人の選任をすることができない。


第十条(代理権の範囲)

削除


第十一条(代理権の不消滅)

手続をする者の委任による代理人の代理権は、本人の死亡若しくは本人である法人の合併による消滅、本人である受託者の信託に関する任務の終了又は法定代理人の死亡若しくはその代理権の変更若しくは消滅によつては、消滅しない。


第十二条(代理人の個別代理)

手続をする者の代理人が二人以上あるときは、特許庁に対しては、各人が本人を代理する。


第十三条(代理人の改任等)

1
特許庁長官又は審判長は、手続をする者がその手続をするのに適当でないと認めるときは、代理人により手続をすべきことを命ずることができる。

2
特許庁長官又は審判長は、手続をする者の代理人がその手続をするのに適当でないと認めるときは、その改任を命ずることができる。

3
特許庁長官又は審判長は、前二項の場合において、弁理士を代理人とすべきことを命ずることができる。

4
特許庁長官又は審判長は、第一項又は第二項の規定による命令をした後に第一項の手続をする者又は第二項の代理人が特許庁に対してした手続を却下することができる。


第十四条(複数当事者の相互代表)

二人以上が共同して手続をしたときは、特許出願の変更、放棄及び取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請又は申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張及びその取下げ、出願公開の請求並びに拒絶査定不服審判の請求以外の手続については、各人が全員を代表するものとする。

ただし、代表者を定めて特許庁に届け出たときは、この限りでない。


(在外者の裁判籍)

在外者の特許権その他特許に関する権利については、特許管理人があるときはその住所又は居所をもつて、特許管理人がないときは特許庁の所在地をもつて民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五条第四号の財産の所在地とみなす。


第十六条(手続をする能力がない場合の追認)

1
未成年者(独立して法律行為をすることができる者を除く。)又は成年被後見人がした手続は、法定代理人(本人が手続をする能力を取得したときは、本人)が追認することができる。

2
代理権がない者がした手続は、手続をする能力がある本人又は法定代理人が追認することができる。

3
被保佐人が保佐人の同意を得ないでした手続は、被保佐人が保佐人の同意を得て追認することができる。

4
後見監督人がある場合において法定代理人がその同意を得ないでした手続は、後見監督人の同意を得た法定代理人又は手続をする能力を取得した本人が追認することができる。