特許法 第六章 審判 その4(特145~157)

百四十五条(審判における審理の方式)

1
特許無効審判及び延長登録無効審判は、口頭審理による。

ただし、審判長は、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書面審理によるものとすることができる。

2
前項に規定する審判以外の審判は、書面審理による。

ただし、審判長は、当事者の申立により又は職権で、口頭審理によるものとすることができる。

3
審判長は、第一項又は前項ただし書の規定により口頭審理による審判をするときは、その期日及び場所を定め、当事者及び参加人に対し、期日の呼出しを行わなければならない。

4
民事訴訟法第九十四条(期日の呼出し)の規定は、前項の期日の呼出しに準用する。

5
第一項又は第二項ただし書の規定による口頭審理は、公開して行う。

ただし、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるときは、この限りでない。


百四十六条(審判における審理の方式)

民事訴訟法第百五十四条 (通訳人の立会い等)の規定は、審判に準用する。


百四十七条(調書)

1
第百四十五条第一項又は第二項ただし書の規定による口頭審理による審判については、審判書記官は、期日ごとに審理の要旨その他必要な事項を記載した調書を作成しなければならない。

2
審判書記官は、前項の調書の作成又は変更に関して審判長の命令を受けた場合において、その作成又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる。

3
民事訴訟法第百六十条第二項 及び第三項(口頭弁論調書)の規定は、第一項の調書に準用する。


百四十八条(参加)

1
第百三十二条第一項の規定により審判を請求することができる者は、審理の終結に至るまでは、請求人としてその審判に参加することができる。

2
前項の規定による参加人は、被参加人がその審判の請求を取り下げた後においても、審判手続を続行することができる。

3
審判の結果について利害関係を有する者は、審理の終結に至るまでは、当事者の一方を補助するためその審判に参加することができる。

4
[s前項の規定による参加人は]、一切の審判手続をすることができる。

5
第一項又は第三項の規定による参加人について審判手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、被参加人についても、その効力を生ずる。


百四十九条(参加)

1
参加を申請する者は、参加申請書を審判長に提出しなければならない。

2
審判長は、参加の申請があつたときは、参加申請書の副本を当事者及び参加人に送達し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。

3
参加の申請があつたときは、その申請をした者が参加しようとする審判の審判官が審判により決定をする。

4
前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。

5
第三項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。


百五十条(証拠調及び証拠保全)

1
審判に関しては、当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠調をすることができる。

2
審判に関しては、審判請求前は利害関係人の申立により、審判の係属中は当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠保全をすることができる。

3
前項の規定による審判請求前の申立は、特許庁長官に対してしなければならない。

4
特許庁長官は、第二項の規定による審判請求前の申立てがあつたときは、証拠保全に関与すべき審判官及び審判書記官を指定する。

5
審判長は、第一項又は第二項の規定により職権で証拠調又は証拠保全をしたときは、その結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

6
第一項又は第二項の証拠調又は証拠保全は、当該事務を取り扱うべき地の地方裁判所又は簡易裁判所に嘱託することができる。


百五十一条(証拠調及び証拠保全)

第百四十七条並びに民事訴訟法第九十三条第一項(期日の指定)、第九十四条(期日の呼出し)、第百七十九条から第百八十一条まで、第百八十三条から第百八十六条まで、第百八十八条、第百九十条、第百九十一条、第百九十五条から第百九十八条まで、第百九十九条第一項、第二百一条から第二百四条まで、第二百六条、第二百七条、第二百十条から第二百十三条まで、第二百十四条第一項から第三項まで、第二百十五条から第二百二十二条まで、第二百二十三条第一項から第六項まで、第二百二十六条から第二百二十八条まで、第二百二十九条第一項から第三項まで、第二百三十一条、第二百三十二条第一項、第二百三十三条、第二百三十四条、第二百三十六条から第二百三十八条まで、第二百四十条から第二百四十二条まで(証拠)及び第二百七十八条(尋問等に代わる書面の提出)の規定は、前条の規定による証拠調べ又は証拠保全に準用する。

この場合において、同法第百七十九条 中「裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実」とあるのは「顕著な事実」と、同法第二百四条 及び第二百十五条の三 中「最高裁判所規則」とあるのは「経済産業省令」と読み替えるものとする。


百五十二条(職権による審理)

審判長は、当事者又は参加人が法定若しくは指定の期間内に手続をせず、又は第百四十五条第三項の規定により定めるところに従つて出頭しないときであつても、審判手続を進行することができる。


百五十三条(職権による審理)

1
審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。

2
審判長は、前項の規定により当事者又は参加人が申し立てない理由について審理したときは、その審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

3
審判においては、請求人が申し立てない請求の趣旨については、審理することができない。


百五十四条(審理の併合又は分離)

1
当事者の双方又は一方が同一である二以上の審判については、その審理の併合をすることができる。

2
前項の規定により審理の併合をしたときは、さらにその審理の分離をすることができる。


百五十五条(審判の請求の取下げ)

1
審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。

2
審判の請求は、第百三十四条第一項の答弁書の提出があつた後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。

3
二以上の請求項に係る特許の二以上の請求項について特許無効審判を請求したときは、その請求は、請求項ごとに取り下げることができる。

4
請求項ごとに又は一群の請求項ごとに訂正審判を請求したときは、その請求の取下げは、その全ての請求について行わなければならない。


百五十六条(審理の終結の通知)

1
審判長は、特許無効審判以外の審判においては、事件が審決をするのに熟したときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。

2
審判長は、特許無効審判においては、事件が審決をするのに熟した場合であつて第百六十四条の二第一項の審決の予告をしないとき、又は同項の審決の予告をした場合であつて同条第二項の規定により指定した期間内に被請求人が第百三十四条の二第一項の訂正の請求若しくは第十七条の四第一項の補正をしないときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。

3
審判長は、必要があるときは、前二項の規定による通知をした後であつても、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審理の再開をすることができる。

4
審決は、第一項又は第二項の規定による通知を発した日から二十日以内にしなければならない。

ただし、事件が複雑であるとき、その他やむを得ない理由があるときは、この限りでない。


百五十七条(審決)

1
審決があつたときは、審判は、終了する。

2
審決は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。

1
審判の番号
2
当事者及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
3
審判事件の表示
4
審決の結論及び理由
5
審決の年月日

3
特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。